契約の日は、安心する日だと思っていました。
見学の日、とても親切に案内してくださった営業さん。
「ここなら安心ですね。」
そう思って契約の日を迎えました。
でも、その日初めて聞く話が、いくつもあったのです。
第3話 「こんな話、聞いていませんでした。」契約の日に初めて知ったこと。
契約当日。
私たちは少し緊張しながら受付を済ませました。
「本日はよろしくお願いいたします。」
案内された部屋には、お寺のご住職がお待ちでした。
見学の日とは違う雰囲気です。
営業さんも同席されていましたが、ここからはご住職が中心となって説明をしてくださいました。
「それでは、ご契約の前に、当寺の供養についてご説明いたします。」
私は契約書を見ながら話を聞き始めました。
供養の考え方。
法要について。
戒名について。
お寺として大切にされていること。
どれも丁寧なお話でした。
でも、その内容は私たちにとって初めて聞くことばかりでした。
私は妻と目を合わせました。
(見学の時には、ここまで詳しく聞いていなかったよね……。)
妻も小さくうなずいています。
ご住職は穏やかに話を続けます。
「ご不明な点があれば、ご質問ください。」
そう言ってくださったのですが、私は言葉が出ませんでした。
もう契約書は目の前にあります。
ここまで来て、
「少し考えさせてください。」
とは、なかなか言えません。
妻も同じだったのでしょう。
静かに資料を見つめています。
部屋の空気は、とても穏やかでした。
誰かに急かされたわけでもありません。
でも、
「ここまで来たら契約するものなんだ。」
そんな空気を、自分たちで感じてしまっていたのです。
説明が終わり、ご住職が微笑みながら言いました。
「何かご質問はございますか。」
私は一瞬迷いました。
聞きたいことは、たくさんありました。
でも、頭の中が整理できません。
結局、
「大丈夫です。」
そう答えてしまいました。
その一言が、あとから何度も頭の中によみがえることになるとは、この時はまだ思ってもいませんでした。
編集部より
契約の場では、初めて聞く言葉や宗教的な考え方が出てくることがあります。
それ自体は決して珍しいことではありません。
ただ、その場で内容を理解しきれないまま契約してしまうと、
「あとで確認すればよかった。」
という後悔につながることがあります。
契約は急ぐ必要はありません。
分からないことは、その場で質問したり、一度持ち帰って整理したりすることも大切です。
契約の日に確認したいこと
- 今日初めて聞いた内容はありませんか?
- 分からない言葉をそのままにしていませんか?
- 家に持ち帰って検討できますか?
- 家族全員が内容を理解していますか?
- 「質問はありませんか?」と聞かれた時に、本当に納得できていますか?
今回学んだこと
私たちは、説明を聞いていなかったのではありません。
聞いていたのに、
理解する時間が足りなかった。
それが、本当の後悔でした。
次回予告
契約を終え、自宅に帰った私たち。
何気なく契約書を読み返していると、一つひとつの説明の意味が少しずつ分かってきました。
そして、私たちは思いました。
「あの時、もう少し質問していれば…。」
あなたなら
どうしますか?
契約の場では、緊張してしまう方も少なくありません。
だからこそ、
「今日は持ち帰って家族と相談します。」
その一言は、決して失礼なことではありません。
納得して契約するために、大切な時間なのです。