『こんな話、聞いていませんでした。』契約の日に初めて知ったこと
「樹木葬なら安心ですよ。」
その言葉を信じて、私たち夫婦は見学へ行きました。
営業さんはとても親切で、「ここなら安心できそうだね。」と、夫婦で笑顔になったことを今でも覚えています。
ところが、契約の日。
私たちは思ってもいなかった現実を知ることになります。
これは、樹木葬をご検討される方から実際によく寄せられるご相談をもとに、個人や施設が特定されないよう再構成したストーリーです。
第2話 「こんな話、聞いていませんでした。」
約束の時間になると、私たちは寺務所へ案内されました。
部屋には営業さんではなく、お寺の方が座っていました。
「本日はご契約ありがとうございます。」
丁寧なあいさつから始まり、契約書の説明が進みます。
私は緊張しながら一つひとつ聞いていました。
すると、お寺の方が穏やかな口調で話し始めました。
「戒名につきましては、お一人ずつお授けいたします。」
私は妻と顔を見合わせました。
(戒名……?)
さらに説明は続きます。
「法要のご案内は毎年お送りいたします。」
「お盆やお彼岸など、お気持ちをお供えいただく方も多くいらっしゃいます。」
聞き慣れない言葉が次々に出てきます。
私は思い切って聞いてみました。
「それは、契約した費用とは別ですか?」
お寺の方は優しく答えました。
「はい。供養に関するものですので、別になります。」
その言葉を聞いた瞬間、胸の中がざわつきました。
(見学の時には聞かなかったような……。)
でも、目の前には契約書があります。
妻も何か言いたそうでしたが、静かにうなずくだけでした。
その場の空気は、とても穏やかでした。
だからこそ、
「今さら『考え直します』とは言えない。」
そんな気持ちになってしまったのです。
契約を終えた帰り道。
妻がぽつりと言いました。
「私たち、ちゃんと理解して契約したのかな。」
私はハンドルを握りながら答えました。
「分からないことがあったのに、聞けなかった。」
その一言が、ずっと心に残っています。
編集部より
寺院が運営する樹木葬では、供養の考え方や宗教的な慣習が説明されることがあります。
その内容は寺院ごとに異なり、
- 戒名について
- 法要について
- 供養の方法について
などもさまざまです。
大切なのは、「契約前に説明を受けた内容」と「契約時に説明される内容」に違いがないかを確認することです。
分からないことがあれば、その場で質問することは決して失礼ではありません。
契約前に確認したいこと
契約後に説明される内容はありますか?
戒名は希望制ですか?
法要への参加は自由ですか?
契約書は持ち帰って確認できますか?
家族と相談してから契約しても大丈夫ですか?
今回学んだこと
契約の日は、緊張するものです。
その場の空気に遠慮してしまい、「聞きたいことが聞けなかった」というご相談は少なくありません。
契約は急ぐ必要はありません。
少しでも疑問があれば、一度持ち帰って家族と相談することも大切な選択です。
次回予告
「追加費用はありません。」
その言葉を信じていた私たち。
でも、後から「お墓の費用」と「供養に関する費用」は別だということを知ります。
あなたなら
どうしますか?
契約書を前にすると、「ここで質問してもいいのだろうか」と迷ってしまうことがあります。
もし同じ場面に立ったら、あなたならどんなことを確認しますか?
ぜひ、ご家族とも一度話し合ってみてください。